一般原則
ICRP75「作業者の放射線防護に対する一般原則」において、電離放射線から作業者を防護するための原則が以下のように勧告されています。
- ・区域の指定:作業場を、軽微な事故が発生する可能性を含む通常の作業条件区域の管理区域と、作業条件が監視のもとにあるが通常は特別な手順を必要としない区域である監視区域に指定して管理を効率化する。
- ・工学的管理:作業者から線源を物理的に隔離し、外部被ばくと摂取の両方をなくすか低減する。
- ・操作手順:作業管理と放射線防護および緊急事の手順は、作業者の適切な防護を確実なものとするため、明確に文書化され、承認され、実施されるべきである。
- ・個人用防護衣と防護具:工学的管理と作業手順を、単独あるいは組み合わせて使っても適切な防護レベルが得られない場合に必要となる。
- ・情報提供と訓練:放射線防護に関する適切で十分な情報と訓練を提供することは、被ばく管理において必要な要素である。
- ・女性の職業被ばく:職業被ばくの管理に性別の区別は必要ないと考えられているが、作業者が妊娠した場合はより高度な防護基準が適用される。
医療従事者の例:IVR
ICRPは、放射線診療に伴う被ばくについて、医療被ばくだけでなく、職業被ばくについても特別なPublicationを与えています。例えば、Publication
117「Radiological Protection in Fluoroscopically Guided Procedures outside
the Imaging Department」やPublication120「Radiological Protection in Cardiology」ではIVRに係わる全ての医療従事者の放射線防護を目的として、放射線防護対策に関する実務的な助言をまとめています。さらに2018年に発表されたICRP139「Occupational
Radiological Protection in Interventional Procedures」では、以下について具体的かつ詳細なガイダンスを与えています。
・線量限度の遵守、防護の最適化を行うための個人モニタリング
・防護に適応可能な方法と機器
・妊娠した従事者の放射線防護
・防護服の保管と品質管理
・機関内の品質管理プログラム
・従事者の教育と訓練
・記録
ICRP139の一般的な結論・勧告は、以下の通りです。
・患者の被ばくと職業被ばくは綿密に関連しているため、患者の被ばくを減らすことが従事者の被ばくにつながる。
・被ばく低減のために、防護エプロン、防護メガネ、鉛シールドなどの適切な使用が必要である。
・患者の防護を含む総合的なアプローチで管理されるべきであり、職業被ばく低減のために臨床結果を損なうべきではなく、また患者の被ばくを増加させるべきではない。