大会長挨拶

 第109回日本医学物理学会学術大会を,2015年4月16日(木)~19日(日)の4日間にわたって,日本医学放射線学会(JRS),日本放射線技術学会(JSRT)との合同学術大会(JRC2015)として,国際医用画像総合展(ITEM)を併催し,パシフィコ横浜会議センターにおいて開催いたします。
 大会メインテーマは「Be Cool and Practical !」です。放射線医療は,W.C. RoentgenによるX線発見から120年目を迎えようとする今日まで,その始まりがそうであった様に,数々のノーベル賞を含む最先端の物理学を初めとする科学技術の成果を臨床医学に積極的に取り込みながら目覚しい進歩を遂げ,そのことは,この領域を大きく特徴付けていると言えます。画像診断,放射線腫瘍学,核医学の全ての領域において,X線,γ線,或いは高エネルギーカーボンビームや,強磁場とRF波による人体構成原子核の相互作用による核磁気共鳴現象など,多くの物理現象を,疾病の,より高精度でより非侵襲的な診断・治療手段に応用し,それを実践臨床に利用することにおいて,放射線医学は,現代医療の中で重要な役割を果たすに至ってきました。医学物理学は,この様な,放射線医学の歴史の中で生まれてきた学問領域であり,物理学の概念と知識を医学に応用する中で,その学術領域を築いてきました.その特徴は,徹底した論理性と実証主義を持って現象の本質理解に至ろうとすることにあります.現象の本質を捉え,科学的視点に立って,この領域で実践する者にとって,「Be Cool and Practical !」は永遠に変わらぬテーマと思われます。 本大会では,JRS,JSRTと合同企画による3つのシンポジウムが開かれます。国内外からの著名な研究者による,特別講演および,教育講演,シンポジウムが企画され,また,一般講演として医学物理学の最先端の研究発表が行われます。研究発表は,疾病予防,診断,治療に関する基礎物理を含む医学物理の広範な分野のすべてに渡っております。
 これらのシンポジウム,特別講演,教育講演,一般講演を合わせて200前後の発表が予定されており,また,第105回大会から一貫して推進されて来た国際化を発展的に継承し,今回は,CyPos及び発表スライドの全面英語化に踏み切り,また,AFOMP(アジア・オセアニア医学物理学会)会員の一般講演への積極的な参加受け入れを行うための方策を講じました。これに伴い。本大会が,国内の会員はもとより,諸外国の同分野の会員との学術的交流を加速させ医学物理の研究及び臨床のさらなる発展につながっていくことを期待したいと思います。
 大会と同時に開催される国際医用画像総合展(ITEM)においては,140以上の企業による最新の放射線医療機器展示がおこなわれます。また,大会2日目には会場において懇親会が予定されています。
 多くの皆様に本大会へ参加いただき,この大会が実り多いものとなることを心より願っております。

第109回日本医学物理学会学術大会
大会長 和田 真一